どうも、ねじまきです。
2025年9月はカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を読んでいきます。
※10月はレイ・ブラッドベリのSF短編集『10月はたそがれの月(新訳版)』の読書会を予定。
まだ未読の方も、SF好きの方もお気軽に参加してみてください。(後述)
個人的な感想
・・・あえて話の筋というよりも脇に逸れたような雑感を箇条書きで。
もちろん2部終わりまでのネタバレありなので、未読の方はご注意を。
・1部とうってかわって、コテージでの生活がスタート。
・セッ〇スのあり方が違う、より大人の世界。 (迷惑メールに誤認されないように〇入れておきます)
・”赤ちゃんができない”ヘールシャムの生徒。
LGBTQ+的な裏テーマの解釈、やっぱりしちゃうよね。
・初めて読んだ時は、確か自分がゲイと気づく前だったのな。
・保護官が宝箱を忘れずに持っていくようにいった意味は?
・介護人になるための講習会については、みなの口が重くなる。
みんな「嫌だ」と口にするわけではないけれど、触れたくもない話題なんだろうな・・・・
・キャシーが男性向けポ〇ノ雑誌(女性の裸)を見ているシーン、どう解釈したらいいんだろう?
・コテージの仲間が、ノーフォークのクロームという町で、自分の「親」の可能性がある「ポシブル」を見つけたらしい。
→自分がクローンの身だったら、ポシブルに会いたくなるだろうか?
結局がっかりしそうな気がして、でも結局探しそうかも。
・ヘールシャムに対してみんななにかしらの恐れみたいなものを持っている
名門だから?
・お目当ての曲のカセットテープがすぐ見つかるのは少し意外な展開。
・わずかな希望を胸に、マダムを探しに行くことに。
・いろいろあって、キャシーはトミーの介護人をすることに。急な展開なんよねこれも・・・。
Music
本の内容に沿った音楽を紹介するコーナー。
(Lost Cornerの曲は10:37~あたりから少し聞けます)
歌詞に「カセット」とか「ノーフォーク」とか、小説のキーワードが登場したりも。
探しに行こうぜマイフレンド 潮が引いたピークの向こうへ過去はどうせ捨てられねえって取り返しなんてつかねえ
なあきっと消えないぜ 目に映るもの全て
夢も希望も不幸も苦悩も全て まあそれはそれで
インタビューによると、米津玄師は実際にノーフォークに行ってきたんだとか。
同じく「がらくた」という曲もあったり。(本読んだ人ならわかりますよね?)
Quotes:
印象に残った文章をいくつか引用。
「こういうことらしいの。男の子と女の子がいて、二人が愛し合っていて――ほんとうに、心底、愛し合っていて――それを証明できれば、ヘールシャムを運営している人たちが何とかしてくれるんですって。いろいろと手を回してくれて、提供が始まるまでの数年間、一緒に暮らせるようにしてくれるんですって」
そうそう、この展開。
「覚えてるか、キャス? 先生はロイにこう言った。絵も、詩も、そういうものはすべて、作った人の内部をさらけ出す……………そう言った。作った人の魂を見せる、って」
うん、うん。
参考になったリンク集
個人的に参考になったリンクやをいくつか貼っておきます。
・米津玄師1万5000字インタビュー|4年間の旅の先 たどり着いた失くし物の在処
カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」という小説がとても好きで、その中でもロストコーナーにまつわる描写がとても好きなんです。ノーフォークという土地を意味する「ロストコーナー」という言葉には「忘れられた場所」とか「遺失物取扱所」みたいな意味合いがあって。物語では子供たちが、ノーフォークについて「あそこって、遺失物取扱所なんだって」と茶化していて。
──小説の中では、イギリスのノーフォークという街を、寂れた、誰も行かないような「イギリスの忘れられた場所」と授業で教えられたというくだりがありますね。そこから子供たちの間で「遺失物取扱所」とのダブルミーニングで呼ばれるようになった。
誰も行かないもんだから、授業で紹介されたときも写真すらなかったという。そういうところも含めて、想像力を働かせるような作用があったんだと思います。子供たちが成長していく間でなんらかの救いみたいな形になっていく。失くしたものは、今はなくなっているかもしれないけど「大丈夫、あそこに行けばきっとあるはずだから」という、そういう精神的な支えになっていく。そうやって変容していく感じとか、実際そこに行っていろいろなことが起きるというのも含めて、すごくいい作品で。「失くしたものを探しにいこう」というのは、そこから影響を受けて出てきた言葉だと思います。
・・・ということでメールの容量がぎりぎりなので、そろそろこの辺で。
次回は30日に配信予定。
最後まで 読んでいただければと。
ほかに感想・気になった点、読書の進捗なども、
掲示板「ねじまきBBS」やコメントでお待ちしてます!
※10月はレイ・ブラッドベリのSF短編集、
『10月はたそがれの月(新訳版)』の読書会を予定。
ハロウィンにもぴったりの一冊になるはず。
※ちなみに、9月は”イシグロマンス”ということで、
映画ニュースレター『Rotten Letter』にて、
カズオイシグロ原作映画『わたしを離さないで』と
新作映画『遠い山なみの光』2本立てでお届けします。
公開されたばかりなので、映画好きの方はこちらもどうぞ。
・メインのニュースレター「ねじまき通信」も近日中に配信予定です。