『イン・ザ・メガチャーチ / 朝井リョウ』読書会というか感想
推し活、そして村上龍
どうも、ねじまきです。
2026年5月は『イン・ザ・メガチャーチ / 朝井リョウ』を読みました。
本屋大賞を受賞したほどのヒット作で、すでに読んだ方も多いかと。
あらすじ
沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」
(Amazonより)
個人的な感想
いつもの通り、わき道にそれたような感想やポイントを箇条書きで書いていきます。
売れた本なのですでに感想が出尽くしているので、
よりわき道にそれたようなあれこれを。
・複数の視点で描かれるスタイルはわりかし好き
・トレンド入りもハックされているところが現代っぽくて嫌らしくて◎
・アイドルのりんたろうが死亡して、「厄介だな」と思う隅川絢子がリアルだった
・ソシャゲの経歴を持つ国見まことが、あくまで推し活のメカニズムを説明に徹しすぎて、(役をやりすぎていて)もったいないと思った。
「逆転裁判」みたいにキャラが崩れるシーンが出てくると思ってたのに、本当にそのまま一辺倒に説明するだけで終わってしまったので、もう少し描き方があったのでは?
・老人の霊媒師のあたりがちょっと普通過ぎてなんかノレなかった、ひねりがなさすぎるというか。
・父がチャミスルの正体を知る流れになるとは思っていたので、
ラストは個人的には「え、終わり?」と拍子抜けしてしまった。
・でも最後の一文は良かった。
・朝井リョウならもうちょっと出来るでしょ、みたいなことを思ってしまった。
・石田衣良が”段々スケールが小さくなっていく微分小説”みたいな表現をしていた
だんだん小さくなる話(人の気持ちにどんどん入っていき、異常さを浮き上がらせていく)。こういうのは本来、女性作家がよくやる書き方だとか。
・売れた作品だし、続編や実写化されても驚かないかな。
Music
『Pictures Of Lily / The Who』
イギリスのバンド、ザ・フーによる「リリーのおもかげ」という曲。
みじめな人生を送る主人公が、父からリリーという女性の写真をもらって、
毎日が楽しくなった、というストーリーの曲。
Pictures of Lily made my life so wonderful
リリーの写真が、僕の人生を素晴らしいものにしてくれた
「彼女に会えないか」と父に訊ねるのですが、答えは「冗談はよせ」。
「リリーは1929年に死んでるんだぜ。」
「その晩僕はどれほど泣いたことだろう…。」
というような歌詞の内容。
音はちょっと古いですが、
歌詞の意図は現代でも十分に通じる内容かと。
メガチャーチ回にぴったりの曲。
Quotes:
印象に残った文章をいくつか引用。
→ Audible(オーディオブック)で聴いたので割愛。
参考リンク
いくつかインタビューが出ていたんのでよかったのを載せておきます。
・『イン・ザ・メガチャーチ』の著者・朝井リョウさん、スペシャルインタビュー!
連載の依頼をいただいたのが2020年の年始でした。その後すぐ感染症の流行が始まり、それに伴って在宅のまま様々なことができるようになりました。その後、感染症の流行が下火になってからも、外出などに始まる行動力そのものが自分から削がれたままになっていると感じていました。何かに突き動かされる機会が減った、という感覚があったのです。
同時に、社会全体として経済的な厳しさが強まる中で、日本人一人あたりの投げ銭の額が世界的に見てもかなり上位だということを知りました。そういう情報に触れるうち、“外出”と“支出”という、全体として目減りしているように感じられるものがむしろ膨張して見える場所——ファンダムのことが、日に日に気になっていきました。やがて、ファンダムと呼ばれる場所を舞台にすれば“人は何に突き動かされるのか”という問いを深堀りできるのではないかと感じ、この小説を構想し始めました
・本屋大賞の受賞で、自分が書いてきたものを「それでいいよ」と言ってもらえた気がした。 | 時間〈とき〉ラボ
物語を生むというのは種を植えるような作業で、その種が後に薬草になるのか毒草になるのかは全然わからない。毒草でしたよと言われる可能性も大いにある。いつかこの本の内容が断罪される未来がやってくると思いながら書いています。ただ、だとしたら、今は誰が見ても毒草だと認識されているものが、実は薬草だという可能性もあるということです。現実ではなくフィクションだからこそ、そのような、「今は現実で言葉にしづらいけれど」という感情を乗せられる器にもなり得ると感じています。
考察
・『イン・ザ・メガチャーチ』と『インザミソスープ』の狭間で。
朝井リョウと村上龍についてブログで書いたので興味ある方はよければ。
若者と宗教の復興についても少し触れたニュースレター先月号。
⛪あとがき⛪
うーん、正直期待しすぎたかな感はあったけれど、
現代を的確にとらえているので売れるのはわかるなぁと。
なんというか言葉を選ばずにいうと、社会学の本を読んでいる感じだった。
最後の展開は読めている人が多かったと思うので、
その次まで書いてほしかったな。
ただ、次回作をどういうものをテーマにして書くのかは非常にきになるところ。
6月は変則的で、前半は短編小説、そして後半はSF長編の上巻を読む予定です。
・6/15配信:『蠅 / 横光利一』
・6/30配信:『マイ・ボディ・オン・ザ・ムーン / 矢野アロウ』(上巻)
ちなみに、6月18日発売の本作、マイ・ボディ・オン・ザ・ムーン 、
上巻の210ページまで無料で試し読み可能になったばかり。(すごい)
話題の国産長編SFなので、Sci-Fi好きな方は一緒によみましょう!
メインのニュースレター「ねじまき通信」も近日中に配信予定。
映画や音楽、厳選ニュースをお届けしますのでお気軽にどうぞ。



