どうも、ねじまきです。
みんなで一カ月かけて同じ本を読む読書会「ブックスタック」。
配信が遅れましたが、最終回の配信です。
個人的な感想
・・・あえて話の筋というよりも脇に逸れたような雑感を箇条書きで。
もちろんネタバレありなので、未読の方はご注意を。
・アマランタ先に死ぬんかい!
糸を通してほしい死神。・・・なんかラテンアメリカの幽霊ってコミカルよね?
怖いとかとまた違う感覚なんだろうか。(P425)
・バナナ農園の描写
ここまであんまり直接的にバナナ農園は描かれてなかった印象で、
みんなそれだけ目に触れたくない感じが出ていてよい。(P447)
・なかったことにされる反乱(P470)
こういうのはコロンビアで実際よくあったんでしょうかね・・・。
・ウルスラの死
死ぬ間際に埋蔵金聞き出そうとするのもオモロだった。(P519)
・堕落の都パリと、ブリュッセル留学がメジャーなのなぜ?(P532)
ラテンアメリカとヨーロッパが文化的に交わっているというのはわかるけれど、
想定してるパリの時代設定っていつごろなんだろう。
ベルギーとコロンビアの関係は?
・双子の最後もちょっと笑った。(P535)
・残り50ページにぐらいなっても、いつもの感じで進んでいく物語。
"ゴキブリの倒し方議論"とかここでやるのかと笑ってしまった。 (P583)
・熱い告白どころじゃない正直アウトなあれこれ(P591~592)
・ 伏線はりまくりの羊皮紙に、残り20ページでも見向きもしないアウレリャノ(P608)
・最後は流石に良かった。
タイトルにちゃんと繋がる感じが良すぎる。
『ドラクエ3』の「そして伝説へ・・・」ぐらいのタイトル回収力。
この世の初めから未来永劫にわたる孤独、
参考になったリンク集
個人的に参考になったリンクやリソースをいくつか貼っていくコーナー。
・765夜 『百年の孤独』 ガルシア・マルケス − 松岡正剛の千夜千冊
ところがこの一族は、ことごとく「孤独」という病いに取り憑かれていた一族だったのである。『百年の孤独』の「孤独」とは、この一族を中心に百年にわたる年代記がもたらす「場所の人間」の、そして「人間の場所」の、いや、そのいずれにも属しているようで属さない者たちの孤独のことだった。しかしながら主人公はやっぱりマコンドなのだ。場所なのだ。
その途方もない物語の一部始終が、なんと『百年の孤独』を書いたガルシア゠マルケス自身の孤客記だったのだ。
現代日本の文学風土にこそ問題があるのかもしれないが、ふつうなら、このような極端な場面に充ちた文学作品は、前衛かアンチロマンか、狂気の文学である。そうでなければイタロ・カルヴィーノかフィリップ・K・ディックかウンベルト・エーコの作品のように、その実験性だけが受け取られるだけなのだ。爆発的にベストセラーに躍り出るなどということはありえない。けれどもラテンアメリカでは、これは実験作ではなかった。
映像になる言葉と、映像にならない言葉。これを徹して交ぜていくこと、それがガルシア゠マルケスが極めた文体である。そこにはたえず「対比」が駆使された。
・『百年の孤独』の余滴として生まれた異色短篇集 (中短篇あとがき)
つまり、魔術的リアリズムの作家たちもまた、距離をおいて新大陸を見ることによって、そこの人間、自然、歴史が驚異にみちていることを発見したのである。彼らはその発見を普遍的なレヴェルにまで高めた上で、文学作品として結実させたが、そこにこそ彼らの成功ではなく、偉大さがあると言っても過言ではない。
この小説は構想してから完成するまでに十五年の歳月を要しているが、彼がいちばん苦労したのは幻想と現実を隔てている壁をいかに取り払うかということだった。
・こうして「百年の孤独」は誕生した…出版社に原稿を送る切手代さえ払えなかった作家(39)に妻がかけたひと言
掲示板で読者の方が貼ってくれた論文も。
・ガブリエル・ガルシア・マルケスの研究 (※PDF)
フォークナーの影響や「孤独」の考察も書かれていてかなり面白かった。
・『百年の孤独』の次に読んでほしいラテンアメリカ文学 其の三
『星の時 / クラリッセ・リスペクトル』はそのうち読みたいなと。
BookStackでもやるかも?
・ままならない人生は、現在進行形(百年の孤独レビュー) - BOOKS:LIMELIGHT
彼は現実世界から離れて、過去でもなく未来でもない、独自の自分の世界に入り込んでいくようにみえた。そして、実はみんなそうなのかもしれないとも感じた。
いろいろ書いたけど、有能でも無能でも、知ってても知らなくても、「ままならない人生は現在進行形」というのが自分の感じた感想かも。そう思うと、逆に落ち着いてくるんだよなあ、読み終えたいまはなんだか凪にいるような、どうしたらいいかわかんない感じ。本当にこの物語みたいなもんなのかもしんないですよ。わたしたちの人生は。
ウルスラも神父も百歳超えの本作を読んでいて、「コロンビアって長寿なのかな?」と思い調べてみたら、実際ご長寿の方もおられたみたい。
・世界最高齢男性が114歳で死去 長寿の秘訣はコロンビアのリキュール!? 子供11人に孫41人、ひ孫は18人
(コロンビアのリキュールが効くんだとか)
へぇ~ こんな風に脱線できるのもこのニュースレターのいいところ笑。
・コロンビア ボゴタ旅初日~大失敗! - さてさて、どこまで老けるか?
偶然、現在コロンビアを旅行中のはてなブロガーを見つけたので、
ひっそり覗かせてもらってます。
Quotes:
印象に残った文章の引用をいくつか。
困ったことに雨 のおかげで何もかもが狂ってしまったのだ。水気などあるはずのない機械までが、三 日ごとに油をくれないと歯車のあいだから黴を吹いた。金銀糸が錆びつき、潘れた衣類にサフラン色の苔がはえた。魚がドアから奥へはいり込んであちこちの部屋を泳ぎまわり、窓から外へ抜けられるくらい、空気は水をふくんでいた。(P479)
マジック・リアリズム感強くて好きな文章。
最後のごたごたのなかで、悲しみを酒でまぎらわしながらふたりの遺体を屋敷からかつぎ出した男たちは、どっちがどっちかわからなくなり、棺桶を間違った穴に埋めてしまった。
双子の最後よ・・・。ちゃんとユーモア入れてくるの好き。
ダンスホールを取り巻くかたちの金網の裏庭では、アマゾン原産のカメリアの大 木のあいだに、色とりどりの鷺、豚のように餌づけされた鰐、ガラガラを十二個も持 った蛇、小さな人工の池にもぐって泳ぐ金色の甲羅の亀などが見られた。男色の気がありながら餌にありつくために牡の役を務めている、おとなしい大きな白犬がいた。(P592)
マコンド村の描写、もう終盤なので愛おしくなる。
どの土地に住もうと、過去はすべてまやかしであること、記憶には帰路がないこと、春は呼び戻すすべのないこと、恋はいかに激しく強くとも、しょせんつかの間のものであることなどを、絶対に忘れぬようにともすすめた。(P604)
ここ、何気に核心に迫っている文章な気がする。
🚂あとがき🍌
馬鹿やっても、不倫しても、放蕩息子が生まれても、
不倫しても、ちゃんと次の世代に血が繋がっていく。
そう思えば、ゲイの自分はここで家系は終わり。
自分はもともと子供が欲しいわけではなかったので、
全然意識したことがなかったけれど、
遺伝子を後世に残せないという事実は
客観的に考えると寂しいものがあるのかもなぁとふと読後に思った。
・・・ただ、いずれは死にいく運命なので、
もうちょっとブエンディア大佐やレメディアスのように
暴れたり、土を喰らったりしてもいいのかな、という気持ちがふつふつと。
・・・なんとも言えない後味を残す名作でした。
いやー、色々書いたけど文句なしに良かった。
読み終わった方は、
専用掲示板にて、読み終わった方は自由に感想を書いて頂ければ喜びます。
読書スレッドは誰でも書き込める場所なので、気軽にコメントや進捗、質問、
気になった箇所について書いていただければと。
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…そして、これから書くつもりの多くの本の中でも――――
私は権力の性質についてずっと問いかけていくことになるでしょう。
けれども、こうしたことを本当に自覚しはじめたのは、
『百年の孤独」を書いている時だ ったと思います。
あの時、私の背中を押したのは、
おそらく法と秩序の勝利をうたっている 公式の歴史に逆らってでも、
悲劇的なあの事件の犠牲になった人たちを
歴史の闇から救い出せるかもしれないという思いでした。
『ぼくはスピーチをするために来たのではありません』 / ガルシア=マルケス
(P127)
BookStackの読書ニュースレターは100人近くの方が登録して頂いているんですが、
メールを直接くれた人や掲示板の書き込みからすると、
体感5~6人の人が僕と同期間に『百年の孤独』を楽しんでくれた感じです。
みんなで読めたので、全然孤独ではない『百年の孤独』体験でした。
参加して頂いた方、メール読んで頂いた方はほんとにありがとうございました。
次回は、『密やかな結晶 / 小川洋子』が課題本です、
と予告してましたが、8月はけっこうやることがたくさんあるので、
中途半端にやるよりは、< 開始を9月に延期 >することにしました。
(準備して頂いた方いたらすみません。)
ということで、8月は図書館で借りた本や積読をあれこれ読み漁ろうかと。
その感想も、余裕があればお届けするつもりです。
海外ニュースや本、映画、音楽について振り返るニュースレターもぜひ。